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令和5年11月1日 月初め式
今年も残すところあと2カ月です。今年の夏は観測史上最も暑い夏となりました。雨が降らない日が続いているので、農作物への影響を心配しています。地球温暖化が大きな原因だと考えますが、気候変動の進行が早く、人類の取り組みが間に合わないのではと危機感を感じています。
さて10月13から15日の3日間「第46回全国町並みゼミ小樽大会」が開かれました。全国から町並み保存に取り組む団体が参加し、事例発表や意見交換を行って地域づくりに役立てる大会です。私は記念シンポジウム「市長サミット 町並み保存とまちづくり」のパネリストとして、函館市の大泉市長、小樽市の迫(はざま)市長とともに、町並み保存の現状や今後の取り組みについて発表しました。内子町は昭和57年に八日市護国の町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、40年以上にわたり保存活動に取り組んできました。全国の皆さんに紹介できたことを大変うれしく思います。
小樽市の歴史と町並みの特徴などについてお話します。
小樽市は明治期の北海道開拓の最も重要な港湾であり、内陸部で産出される石炭輸送などの物流拠点として急速に発展しました。石造り倉庫や邸宅などの歴史的建造物や産業遺産によって、情緒ある町並みを形成しています。しかし昭和41年、荒廃した運河を埋め立て道路を建設する都市計画が決定。工事が始まると、運河や石造倉庫群を守ろうとする市民運動が起こり、約10年にわたり市中を二分する運河論争が繰り広げられました。その結果、市は計画を変更し、運河の半分を埋め立てて道路と散策路に、もう半分は運河の再生を図ることとなります。この「小樽運河保存運動」は全国のまちづくり運動にも大きな影響を与えました。その後、市は景観条例を制定し、新旧調和のとれた都市景観の創出に取り組んだ結果、歴史的な町並みが観光資源となって年間800万人近くが訪れる観光都市となりました。現在は運河沿いにある4階建て倉庫の寄付を受け、活用について官民が知恵を出し合っています。また歴史的建造物の保全に必要な国の財政支援を受けるための取り組みも進んでいるところです。
日本各地に残る歴史的な建物は、その地域を語る上でも、まちづくりをする上でも大切な財産です。内子町もその考えのもと、しっかりとまちづくりを進めていきます。
その他の催しも紹介します。
10月29日から31日にかけて内子運動公園で「ねんりんピック愛顔のえひめ2023」の軟式野球交流大会が行われました。期間中は小中学生や高校生、町民の皆さんにもお越しいただきました。選手の皆さんも60歳以上とは思えないほど素晴らしい試合を見せていただきました。応援に来てくれた皆さんが一生懸命エールを送り、選手の皆さんも元気づけられてハッスルプレーもたくさん見られました。応援していただいた人や運営に携わっていただいた皆さん、本当にありがとうございました。
また6年ぶりに姉妹都市であるドイツ・ローテンブルク市から、マルクス・ナザー市長、青少年海外派遣事業でお世話になっているドリス・グレーナさん、オリバ・ラープケさんの3人が内子町を訪れます。同市との交流は、昭和61年の内子まちづくりシンポジウムから始まりました。当時の内子町は町並み保存を始めたばかり。先進地に学ぼうと、世界で一番美しいといわれる同市からオスカーシューバルト市長を招き、講演していただきました。以来、内子町でも歴史や文化、伝統を大切にしたまちづくりに取り組んできました。現在も子どもたちや職員、住民同士の交流が続いていますが、青少年海外派遣事業についてはコロナ禍もあり、4年間中止せざるを得ませんでした。不安定な国際情勢もありますが、皆さんと協議しながら再開できればと考えています。ナザー市長とラープケさんは初来町です。町の歴史、文化、伝統を感じていただければと思います。