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令和7年12月1日
今年も残り1カ月となりました。皆さんも月日の流れが早いと感じているのではないでしょうか。年内に終わらせた方がいいことは先送りせず、すがすがしく新年を迎えられるようにしましょう。
さて恒例の文楽公演ですが、今年は11月29・30の2日間、高橋邸と高昌寺を会場に計3回上演しました。申し込みは定員の2倍を超えており、当日は県内外から200人以上にお越しいただきました。公演の他、文化功労者で人間国宝の人形遣い・吉田和生さんと、愛媛県出身のアナウンサー・武内陶子さんの対談も行われ、会場は大いに盛り上がりました。新たな会場での文楽ということで、お客さまには新鮮な気持ちで楽しんでもらえたのではないかと思います。
また30日には、あけぼの橋周辺の小田川河川敷で「小田川シクロクロスin内子」が開かれ、県内外から200人以上に参加いただきました。私は90分間の耐久レースに出場しました。1チームは最大4人で、中には1人で走り切る人もいました。私のチームは当然、4人編成です。1周ごとに交代していましたが、コースはアップダウンが激しく、2カ所の階段は自転車を担いで走るので体力が必要です。しかし完走後は達成感がありました。町内には自転車愛好家もたくさんいらっしゃいます。来年は皆さんも一緒に走りましょう。楽しめること間違いなしです。
11月20・21の2日間、県内9町の首長で、令和6年に発生した能登半島地震・能登豪雨の被災地を視察しました。石川県の穴水町と能登町を訪れ、今の課題や対応状況について学びました。併せて防災対策の強化に生かすための研修も実施しています。
能登半島地震は令和6年1月1日の午後4時10分ごろに発生しました。地震の規模はマグニチュード7.6、最大震度は7。穴水町・能登町では震度6強を観測しました。元日のため帰省中の人も多く被災したとのことです。この地震による犠牲者は、11月10日時点で直接死228人、災害関連死456人、合わせて684人に上ります。なお穴水町・能登町では直接死は22人、災害関連死は113人です。災害関連死が直接死を上回る原因として、避難所の環境や医療体制の課題などが挙げられていました。
家屋の他、道路や水道などのインフラ被害も甚大です。全壊した建物は約3,000棟に上ります。半壊を含めると被害数は倍以上になりますが、公費解体は申請分についてはほぼ完了したそうです。住まいを失った人は仮設避難所で生活し、その後は仮設住宅や、民間アパートなどを活用したみなし仮設住宅で生活されています。しかし入居期限が迫っても、今後の生活の見通しが立たない人も少なくないとのことでした。上下水道も発災直後から使えなくなり、復旧に時間を要しました。道路もある程度は復旧したものの、一部では通行止めが続いています。復旧・復興に必要な予算が通常の予算に上乗せされ、膨大な額に膨れ上がっています。工事を進めるための技術者なども必要で、全国の自治体などから応援を受けながら対応していますが、まだまだ不足しているようです。復旧・復興に向けて一生懸命取り組んでいる最中ですが、長い時間を要するのだと痛感しています。
このような中、私たちの地域でも南海トラフ巨大地震が今後30年以内に80%の確率で発生すると想定されています。今から準備をしておかなければなりません。まず大切なのは、命を守る備えです。家具や古い建物に押しつぶされて亡くなったり、重傷を負ったりする人は少なくありません。建物全体の耐震化はもちろん、シェルターの設置や家具の固定、火災防止のための感震ブレーカーの設置など、町の補助制度を活用して進めていく必要性を改めて感じました。
発災後に迅速に対応できる体制の整備と強化の必要性も学びました。発災直後は職員の登庁が困難になり、災害対策本部の設置や運営が遅れる恐れがあります。災害対応の知識不足・経験不足による混乱、戸惑いも起きるので、職員の対応水準の強化を図ることも大切です。また停電や断水、通信網の遮断を想定して、職員間や外部機関との連絡手段の確保など、本部の強化も必要になってきます。応援対策職員派遣制度による対口(たいこう)支援や、自衛隊・各省庁からのさまざまな支援を即座に受け入れられる体制の整備も重要とのことでした。公助には限界があるため、自助・共助について地域の防災士や自治会の協力を得ながら、理解を深めていく必要性を感じています。
今回の視察では、被災当事者からの貴重な体験談を聞くことができました。内子町でも事前準備をしっかり行い、大災害に備えていきます。
2025年も最後までしっかりと各種事業を進めていきますので、ご協力をお願いします。よいお年をお迎えください。