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平成30年度から適用される個人住民税の税制改正
◆ 1.給与所得控除の見直し(上限額の引き下げ)
平成26年度税制改正で、給与所得控除の見直しがされ、給与所得控除の上限が適用される給与収入1,500万円(控除額245万円)を「平成28年分は1,200万円(控除額230万円)に、平成29年分以後は1,000万円(控除額220万円)に引き下げる」こととされました。
(注意1)住民税については、平成26年度~平成28年度に適用
(注意2)住民税については、平成29年度に適用
(注意3)住民税については、平成30年度以後に適用
給与収入金額から給与所得金額を求める算出表 [PDFファイル/77KB]
◆ 2.セルフメディケーション推進のための「スイッチOTC薬控除」(医療費控除の特例)の創設
平成28年度税制改正で、適切な健康管理の下で医療用薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている個人が、平成29年1月1日から本人や本人と生計を一にする親族に係る「スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)」の購入費用を1年間に1万2千円を超えて支払った場合には、1万2千円を超える額(控除限度額8万8千円)を所得控除できる特例が創設されました。(従来の医療費控除との選択適用となります。)
適用期間
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの5年間
(平成29年分の所得税、平成30年度の個人住民税から5年間適用)
適用要件とされる健康の維持増進及び疾病の予防への取組(一定の取組)
次の1.から5.のいずれか1つに該当する検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る)を受けていることを要件とされます。
1.特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
2.予防接種
3.定期健康診断(事業主健診)
4.健康診査(いわゆる人間ドック等で、医療保険者が行うもの)
5.がん検診
(注意1)
1.申告の際には、検診等の又は予防接種を受けた「一定の取組」を明らかにする書類が必要です。
例えば、インフルエンザ予防接種の領収書や会社で受けた定期健康診断の結果通知表などです。
詳しくは、厚生労働省のホームページ「一定の取組の証明方法について(チャート)」<外部リンク>をご覧ください
2.検診等又は予防接種に要した費用は、スイッチOTC薬控除の対象にはなりません。
「スイッチOTC薬」とは
医師の処方が必要だった医療用医薬品から転用(スイッチ)された、薬局のカウンター越し(Over The Counter)に購入できる市販の医薬品です。かぜ薬、胃腸薬、鼻炎薬、解熱鎮痛剤、コレステロール改善薬など約1,500種類が厚生労働省のホームページ<外部リンク>(セルフメディケーション税制対象品目一覧に掲載されています。
(注意2)この特例を受ける場合には、従来の医療費控除を受けることができません。いずれか一方のみ、控除の適用を受けることができます。 ※ 控除額の比較
1.この特例を受けるには、所得税の確定申告または、個人住民税の申告が必要です。(所得税の確定申告された方は、税務署から申告情報が提供されますので、個人住民税の申告は不要です。)
2.平成29年1月1日以降に購入するスイッチOTC医薬品が対象となります。
3.申告の際には医薬品名、金額、当該医薬品がセルフメディケーション税制対象品である旨 、 販売店名、購入日が明記されたレシートや領収書等が必要です。一定の取組を行ったことを明らかにする書類とともに申告時期まで保存しておいてください。
詳しくは下記、(参考)セルフメディケーション税制リンクをご覧ください。
(参考)
厚生労働省 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について<外部リンク>
厚生労働省 セルフメディケーション税制Q&A(PDF形式 )<外部リンク>
国税庁 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制<外部リンク>
◆ 3.医療費控除・医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の申告時における「明細書」の添付義務化
平成29年度税制改正で、医療費控除・医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)のいずれか適用を受ける方は、領収書の提出の代わりに「医療費控除の明細書」、「セルフメディケーション税制の明細書」を申告書提出の際に添付しなければならないこととされました。
(参考)国税庁のホームページ:(確定申告の医療費の明細書添付義務化のおしらせ)<外部リンク>
(注意1)医療費控除を受ける方は、セルフメディケーション税制による医療費控除の特例を 受けることはできません。
(注意2)セルフメディケーション税制による医療費控除の特例を受ける方は、通常の医療費控除を受けることはできません。
適用時期
所得税は平成29年分の確定申告、個人住民税は平成30年度の住民税申告から適用
経過措置
平成29年分から平成31年分までの所得税の確定申告については、医療費等の領収書の添付または提示によることができます。
(平成30年度から平成32年度までの個人住民税の申告については、医療費の領収書の添付または提示によることもできます。)
補足:所得税の確定申告された方は、税務署から申告情報が提供されますので、個人住民税の申告は不要です。
医療費通知の活用
医療保険者から交付を受けた医療費通知(原本)を添付すると医療費の明細を記入省略できます。(セルフメディケーション税制除く)
医療費通知とは、健康保険組合等が発行する「医療費のおしらせ」などです。
領収書の保存期間等
明細書の記入内容の確認のため、医療費等の領収書は確定申告期限等から5年間保存する必要があります。
税務署長(住民税申告においては市区町村長)から当該明細書に係る医療費等の領収書の提示又は提出を求められた場合には、その適用を受ける方は、当該領収書の提示又は提出しなければならないこととされました。
添付又は提示が必要な書類関係
(1)医療費控除の適用
・「医療費控除の明細書」添付
・医療費通知(原本)添付
(補足)「医療費控除の明細書」の1.医療費通知に関する事項を記入した場合に限ります。
次の費用については、医療費控除を受ける場合は、それぞれ該当する書類]の添付又は提示が必要です
(2)セルフメディケーション税制の適用
「セルフメディケーション税制の明細書」添付
「一定の取組を行ったことを明らかにする書類」添付又は提示
1.氏名
2.取組みを行った年
3.事業を行った保険者、事業者若しくは市区町村の名称又は取組みに係る診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名の記載があるものに限ります。
「一定の取組を行ったことを明らかにする書類」の具体例
・インフルエンザの予防接種又は定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)の領収書又は予防接種済証
・市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表
・職場で受けた定期健康診断の結果通知表(「定期健康診断」という名称又は「勤務先(会社等)名称」が記載されている必要があります。)
・特定健康検査の領収書又は結果通知表(「特定健康検査」という名称又は「保険者名(ご加入の健保組合の名称)」が記載されている必要があります。)
・人間ドックやがん検診をはじめとする各種健診(検診)の領収書又は結果通知表(「勤務先(会社等)名称」、「保険者名(ご加入の健保組合の名称)」が記載されている必要があります。)
(補足1)取組を行ったことを明らかにする書類のうち、結果通知表は健診結果部分を黒塗り又は切取りなどをした写しで差し支えありません。
(補足2)上記の書類に必要な事項が記載されていない場合は、勤務先や保険者などに一定の取組みを行ったことの証明を依頼し、証明書の交付を受ける必要があります。
(補足3)検診等又は予防接種に要した費用は、セルフメディケーション税制の控除対象にはなりません。